精一杯してはいけない

何かにつけて、特に良いことについては、精一杯することが良いことであり、正しいことされる風潮がある。

ある程度精を出すことは必要だろう。

しかし、たとえそれが正しく、良いことであっても、精一杯しないほうがよい。

仕事であれ、家事であれ、何であっても精一杯する時があるとしたら、それはごく限られた瞬間だ。

人はあなたに少しでも精一杯することを期待しているかもしれない。

自分は精一杯していることを認めてもらおうとしているかもしれない。

しかし、ときのそのことは、それぞれの満足感や達成感、利益のための場合がある。

精一杯すると、それぞれに都合がよいのだ。

精一杯してもらうと自分が助かるからであり、精一杯すると自分が受け入れてもらえるからだったりする。

精一杯する人は、基本的に気持ちのアップダウンが大きく、心の安定を欠いていることが多い。

全身全霊をかけることが美徳という観念があり、手抜きせずに一生懸命取り組んでいて、それ相応の成果が出ればよいが、いつも思うようにいくものではない。

そうしたとき、ひどく落胆したり、何かに対して怒りを抱いたりするようになる。

精一杯しているからこそ、自分の願う結果が出なければ納得いかない思いも人一倍強いのだ。

努力したら、頑張ったら、必ずそれに見合う報いが出ないとおかしい、という発想だ。

聖書の中にある、ぶどう園で朝から働いた労働者たちが、結果に不満を抱いた心理はここにある。

決して、怠けていていいと言っているわけではない。

自分の努力に見合う結果が出て当然という考えが、自分よがりの自己中心の発想に端を発しているということである。

そして精一杯することの弊害のもう一つは、神を自分の心に入れていないことだ。

自分がすることが正しいことで良いことだと突き進むとき、神の意志を聞き入れる余地が失われている。

むしろ神の意志を聞きれる部分が心の中心にあるべきだ。

すでにこれは神の意志に間違いないという態度で、神よりも先に自分を進ませている。

どんなに聖書から持ってきても、自分が中心で動いている限り、それも自己中心であり、神の的を外している。

いわゆるである。

聖書にある「正しすぎてならない」は、このことに関係する。

神を愛するのならば、どんなに正しいことでも、聖書のことばどおりでさえあっても、何よりも心に神を迎えて神と常に共に歩むことが大切だ。

すぐに判断して進もうという人は、自分の成果を早く見たく、自分の正しさを証明したい自己中心の人なのかもしれない。

聖書では「さばいてはいけない」と言われている。

自分で右か左か、白か黒か、判決を下してはいけない。

もし、精一杯するとしたら、それは神を愛することだ。

心を尽くし、精神を尽くし、力を尽くし、知恵を尽くして、神を愛することだ。

ある英語では All your heart となっている。

直訳すると「あなたのすべての心で」と言うことになり、「精一杯」、「全身全霊で」ということになる。

人は、神を愛することについては精一杯するべきであり、そのほかのことは、神を精一杯愛しながらすることだろう。

まず神を愛すること抜きに、正しいこと、聖書のとおりであってもそれは、本末転倒となる。

それがうまく行けばよいかもしれないが、自分の行動や正しさが正しかったという有頂天、高ぶりになるだろう。

人は自分よがりだし、そうなりやすい。

それを自覚し、警戒しようという思いがなければ、正しいとされること、良いとされることをしながら、ただ自分の満足感や達成感を味わおうとする傲慢へとハマっていく。

そうなったときの、何か違う、何か神のみこころと異なると感じる新しくされた良心が働けばよい。

しかし、それを感じないのか、感じても押しやってしまうのか、ひたすら精一杯進んで行く人は多い。

自分の不安を自分で埋めるように。

その人は、神が守り、神が平安を与えられるということを知らず、味わったことがないようだ。

自己満足、自己達成の結果の虚しさを知らず、神が人を造られた目的も知らず、神とともに生きて行く喜びを知らない人たちかと考えられる。

精一杯すること、全身全霊で取り組むことは、世間において、そして教会においても良いことと思われる風潮があり、だれも止めようとしない。

しかし、何かを精一杯するよりも前に、精一杯神を愛すること、自分に神を迎え入れることである。

いつの間にか神を後にして、自分が先行して行くならば、どんな良いことをするにしてもその人が中心の世界であり、神の国はそこにはない。







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